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第6回(2005年)

表彰式&シンポジウム   <記念講演>

「賢い資産管理?最近の経済・株式相場動向から?」

藤沢久美氏(シンクタンク・ソフィアバンク 副代表)

藤沢久美氏の写真

学生時代に皆さんにぜひ学んでいただきたいのは、投資テクニックではなく投資の持つ“意味”です。日本は今、大きな変化の時を迎えています。その潮流の一つが高齢社会の到来です。人口構成が変われば、経済のあり方も大きく変わってきます。これは家庭に置き換えて考えればよく分かるでしょう。両親と子供たちが一緒に住んでいる時代と、子供が巣立ったあとでは、暮らし方が様変わります。国も同じで、新しい価値観で経済を作り上げていかなくてはなりません。
もうひとつの大きな流れはIT(情報技術)革命。インターネットが普及して、ビジネスも個人の生活もどんどんグローバル化し、祖父母や両親の時代とは暮らしのスタイルが大きく変わってきました。

そんな中でこの数年、「自己責任」という言葉が盛んに言われるようになりました。責任とは自由の裏側です。自己責任が強調される背景には、実は自由が多くなったという社会の変化があります。やりたいことがあれば、実現するチャンスが増えたわけです。ただし、各人の夢を実現するためのお金をどのように準備するかは、まさに自分の責任なのです。資産管理についてもこの数年間で自由度が増しました。同時に安心して投資ができるよう、制度の整備も進められています。
では投資とは何でしょうか。私は成長するものを応援して、積極的に育てることだと思います。
皆さんも、両親や先生など多くの人たちから、お金と時間の投資を受けてきたわけです。だから今日の自分がある。それと同じ考え方で、“育てる”投資をしていくことが大切だと私は思っています。ただし投資はいつも成功するとは限らず、失敗もあります。でも投資の素晴らしいところは、そこで学んで、また前に進んで行ける点です。そして皆で応援しながら、信頼できるものを一緒に作り出していけるのです。
投資するときに忘れてはならないのが、リスクを的確に管理すること。投資で一番利益が上がる手法は、実は集中投資です。しかしこれは外れると損失が極めて大きい。そこで分散投資をして、当たり外れのブレをできるだけ小さくすることが大事になります。

ところで集中投資を積極的にするべき対象があります。それは“自分”です。自分を磨くために一番多く時間を使えばいい。でも何かしようとすると、やはりお金が必要です。そのためのお金を上手に管理して殖やすということが、資産管理の本来の意味だと思います。ただお金を殖やすために運用にのめり込むのは、好ましくありません。短期で売り買いする投機も悪いことではないけど、相当な時間をつぎ込まなければならないため、自分を磨くために使う時間がなくなってし まいます。
株式投資するときに一番大切にしてほしいのは、その会社が良い社会を作るのに役立ってくれるかどうかを判断する視点です。これは難しく考える必要はありません。自分の目線でそういう会社をたくさん見つけて、投資していけばいいのです。皆さんにお願いしたいのは、日本らしい、新しい投資スタイルをぜひ作っていただきたいということです。
先日米国を回ってきました。投資家がたくさんいて、成長機会の多いすばらしい国といわれていますが、「すぐに利益を出せ」という株主の要求が強まっているという話をあちこちの企業で聞きました。あるコンピューターメーカーではそうした株主の要求によって、長年続けてきた発展途上国の子供たちにパソコンを配る事業をやめざるを得なくなったそうです。
海外から学ぶべきことはたくさんありますが、ぜひ自分たちの後ろも振り返ってもらいたい。皆さんの先輩たちが日本で作り上げてきたものを、もう一度見直してみてください。日本には世界に名だたる企業がいっぱいあります。それを育てたのは皆さんの先輩たちです。そうした中から、これが二十一世紀の株式投資の 考え方だ、投資のスタイルだというものを、若い人たちが生み出してくれることを期待しています。